週末のひとりごと誰にも見せなくても、丁寧に暮らす
SNSを開くと、光の加減まで計算されたような部屋の写真が並ぶ。木製のカトラリー、陶器のマグカップ、余白のある食卓。整えられた空間と美しい暮らし。そこには「丁寧な暮らし」というラベルが貼られている。 もちろん、あれはあれで素敵だと思う。整った... 週末のひとりごと比較のない場所で、呼吸を整える
コーヒーの香りがゆっくりと立ちのぼる。窓際の席、午後の柔らかな光。ページをめくるたび、本の紙の手触りが静けさに溶けていく。目の前には誰もいない。話し声も遠く、小さなBGMが店内を薄く満たしている。スマートフォンは伏せたまま、誰の通知も気にし... 週末のひとりごとやわらかい風と、始まりの気配
気温が急に上がった朝、窓を開けた瞬間に、やわらかい風が部屋に入り込んだ。湿り気を含んだその空気は、どこか土の匂いと若葉の匂いが混じっている。寝ぼけた目が一瞬で覚めるわけでもない。けれど、鼻先をくすぐるその匂いが、春の訪れを静かに告げてい... 週末のひとりごと何を得るかではなく、何を差し出すか
会計の世界には、「費用収益対応の原則」という考え方があるらしい。収益が計上されるならば、それに直接結びつく費用も同時に認識しなければならないという原則。売上だけをひとり歩きさせることは許されず、それを生み出すために払った代償もまた、等し... 週末のひとりごと論理と感情のあいだで
社会に出てから、まだ10年は経っていない。けれど、指の間をするりと抜けていくようにして、気づけば10年が目前にある。目の前にある日々をひとつずつ噛み砕いてきたつもりなのに、振り返れば足跡は思いのほか遠くまで伸びている。 この10年弱で痛感したの... 週末のひとりごとポケットの中の無限と虚無
ポケットに滑り込むその薄く冷たい板は、世界そのものを圧縮した装置である。触れるだけで扉が開き、言葉が溢れ、映像が流れ、世界の鼓動が手のひらに響く。かつて、遠く離れた人との会話には時差と不便が付きまとい、情報に辿り着くには足と時間を要した... 週末のひとりごと雪の記憶
2025年3月3日。東京に雪が降った。 僕の記憶では、今シーズン初めての雪だった。湿ったアスファルトの上に、白い粒が静かに舞い降りる。空を見上げると、灰色の雲の切れ間から、冷えた光がわずかに射している。東京の雪はたいてい儚く、すぐに消えてしまう... 週末のひとりごと選択肢の多さは幸福か、それとも迷いの種か
人生における幸福とは何か。 この問いに対する明確な答えを持つ者は少ない。幸福は主観的なものであり、個々の価値観や環境によって大きく左右される。その中でも、「選択肢の多さ」は幸福度に影響を与える要素のひとつではないかと考えることがある。 例... 週末のひとりごと春の訪れ
2025年3月1日。 今日は、驚くほど温かい。つい昨日まで肌を刺すような寒さが続いていたのに、まるで暦が「3月は春だ」と宣言したかのような空気に包まれている。冬の終わりを感じる。そして、それと同時に春の訪れを確かに感じる。 春が好きだ。これは別に... 週末のひとりごとAIが繋ぐ世界と、失われる対話の温度
AIは素晴らしい。 仕事においても、プライベートにおいても、もはやAIを使わない日はない。朝、目覚めとともにスマートフォンを手に取り、ニュースをチェックすれば、そこにはAIが選別した記事が並ぶ。メールやチャットの文章を考える際、AIの補助を借りる...