週末のひとりごと論理と感情のあいだで
社会に出てから、まだ10年は経っていない。けれど、指の間をするりと抜けていくようにして、気づけば10年が目前にある。目の前にある日々をひとつずつ噛み砕いてきたつもりなのに、振り返れば足跡は思いのほか遠くまで伸びている。 この10年弱で痛感したの... 週末のひとりごとポケットの中の無限と虚無
ポケットに滑り込むその薄く冷たい板は、世界そのものを圧縮した装置である。触れるだけで扉が開き、言葉が溢れ、映像が流れ、世界の鼓動が手のひらに響く。かつて、遠く離れた人との会話には時差と不便が付きまとい、情報に辿り着くには足と時間を要した... 週末のひとりごと雪の記憶
2025年3月3日。東京に雪が降った。 僕の記憶では、今シーズン初めての雪だった。湿ったアスファルトの上に、白い粒が静かに舞い降りる。空を見上げると、灰色の雲の切れ間から、冷えた光がわずかに射している。東京の雪はたいてい儚く、すぐに消えてしまう... 週末のひとりごと選択肢の多さは幸福か、それとも迷いの種か
人生における幸福とは何か。 この問いに対する明確な答えを持つ者は少ない。幸福は主観的なものであり、個々の価値観や環境によって大きく左右される。その中でも、「選択肢の多さ」は幸福度に影響を与える要素のひとつではないかと考えることがある。 例... 週末のひとりごと春の訪れ
2025年3月1日。 今日は、驚くほど温かい。つい昨日まで肌を刺すような寒さが続いていたのに、まるで暦が「3月は春だ」と宣言したかのような空気に包まれている。冬の終わりを感じる。そして、それと同時に春の訪れを確かに感じる。 春が好きだ。これは別に... 週末のひとりごとAIが繋ぐ世界と、失われる対話の温度
AIは素晴らしい。 仕事においても、プライベートにおいても、もはやAIを使わない日はない。朝、目覚めとともにスマートフォンを手に取り、ニュースをチェックすれば、そこにはAIが選別した記事が並ぶ。メールやチャットの文章を考える際、AIの補助を借りる... 週末のひとりごと夢の国に差し込む現実の光
かつて、夢の国と呼ばれたその場所には、まだ夢が残っていた。 約10年ぶりにディズニーランドを訪れた。季節は春。花々が咲き乱れ、空はやわらかく澄んでいた。ゲートの向こうに広がる光景は、一見するとかつてのままだった。ミッキーの耳をつけた子どもた... 週末のひとりごと絶望の訪れ
2025年1月4日、それは訪れた。 1月4日という季節を勘案すると、絶望するしかない。それは突如訪れた。僕の部屋のエアコンが壊れたのだ。 暖房がつかない。冷房や除湿はしっかりと稼働する。しかし、この季節に求めるのは暖房であり、それがない部屋はもは... 週末のひとりごとプライドなき人生と、缶ビールの幸福
人生というものを端的に表すならば、僕の場合、それは帰り道のコンビニで缶ビールを選んでいるときのあの穏やかな瞬間に凝縮されている。冷えた棚に並ぶ缶ビールを眺めながら、今日はどれにしようかと思案する時間。それは、まさに僕の人生そのものを象徴... 週末のひとりごと虚無感と期待のはざまで迎える2025年
2025年1月3日、時刻は夕方18時。正月三が日の最終日。街は年末年始の喧騒を抜け、新年という名の静けさが漂う。僕は新橋にいる。特に理由があったわけではない。むしろ、三が日は家で静かに過ごそうと決めていた。しかし、予定外の衝動に駆られて外に出て...